労働基準法では、第37条において時間外、休日及び深夜の割増賃金の支払義務について規定されています。
時間外労働に対する割増賃金は、通常の賃金の2割5分以上となります。
1時間当たり1,000円で働く労働者の場合、時間外労働1時間につき、割増賃金を含め1,250円以上を支払うことになります。
休日労働に対する割増賃金は、通常の賃金の3割5分以上となります。
休日労働とは、労働基準法で定められた法定休日(週1日又は4週を通じて4日。曜日は問いません。)に労働させることをいいます。
割増賃金の規定における深夜とは、午後10時から翌日午前5時までの時間をいいます。深夜の労働に対する割増賃金は2割5分以上となります。
これらの割増賃金は重複して発生することがあります。
時間外かつ深夜の労働の場合、合計5割以上(2割5分+2割5分)の割増賃金を支払うことになります。
また、休日かつ深夜の労働の場合、合計6割以上(3割5分+2割5分)の割増賃金を支払うことになります。
もっとも、法定休日には法定労働時間というものがそもそも存在しないため、休日労働の場合、時間外労働に対する割増賃金は発生しません。つまり、休日労働に対する割増賃金と時間外労働に対する割増賃金は重複しません。
では、割増賃金の基礎となる賃金はどのように計算するのでしょうか。
労働基準法施行規則第19条において、割増賃金の基礎となる賃金の計算方法が規定されています。具体的には以下のとおり計算されます。
・時給の場合・・・時給額
(例)時給が1000円の場合は1000円
・日給の場合・・・日給額を一日の所定労働時間で割った金額
(例)日給が1万円で所定労働時間が8時間の場合は1250円
・月給の場合・・・月給の額を月の所定労働時間で割った金額
(例)月給が30万円で月の所定労働時間が160時間の場合は1875円
割増賃金の基礎となるのは、所定労働時間の労働に対して支払われる賃金です。
以下の手当は、労働と直接的な関係が薄いため、割増賃金の基礎となる賃金から除外することができます。
なお、家族手当・通勤手当・住宅手当については、名目のみではなく支給内容により実質的に判断されます。
・家族手当
・通勤手当
・別居手当
・子女教育手当
・住宅手当
・臨時に支払われた賃金
・1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
上記以外の手当については、全て割増賃金の基礎となる賃金に含めることになります。
今回ご説明した内容には例外も多数あります。次回以降、例外についてもご説明させて頂きます。