労働基準法では,労働者を解雇しようとする場合には少なくとも30日前に解雇予告をしなければならず,解雇予告をしない場合には30日以上の平均賃金を支払わなければならないことを定めています。この解雇予告に代わって支払われる平均賃金のことを解雇予告手当と呼んでいます。
この平均賃金は,原則として以下のような方法で計算することになります。
解雇を告げられた日以前の3か月間に支払われた賃金総額÷3か月間の総日数・・(1)
この3か月間に支払われた賃金総額には,時間外手当や通勤手当等は含まれますが,ボーナスは含まれないことに注意が必要です。また,総日数には休日も含まれます。
具体的に計算してみましょう。3か月間に支払われた賃金総額が72万円で,3か月の総日数が92日とした場合,平均賃金は,
72万円÷92日=7826円となります。
そこで,30日分の解雇予告手当が必要な場合には,解雇予告手当の金額は,
7826円×30日=23万4780円となります。
この平均賃金の計算には例外があり,日給・時間給・出来高払制の場合には最低保障が設けられています。計算方法は以下のとおりです。
解雇を告げられた日以前の3か月間に支払われた賃金総額÷3か月間に実際に働いた日数×60%・・(2)
(1)と(2)を比較して,いずれか高い方を平均賃金とします。
具体的に計算してみましょう。3か月間に支払われた賃金総額が24万円で,3か月の総日数が92日,実際に働いた日数が30日とした場合,
(1)24万円÷92日=2608円
(2)24万円÷30日=8000円
となります。
この場合,(1)より(2)の方が高いため,平均賃金は8000円となります。そこで,30日分の解雇予告手当が必要な場合には,解雇予告手当の金額は,
8000円×30日=24万円となります。
このように,解雇予告手当の計算については,具体的な事情に基づく判断が必要になってきますので,解雇予告についてお悩みの方は是非とも当事務所までご相談ください。